みなさんから日々いただくご感想の中で、「自分を責めてしまう」ということを書いていらした方がいたので、今日はこれをテーマに思うところを書いてみたいと思います。
まず感情解放ワークでは、自分にせよ他者にせよ、「責める」という行為は「感情のフタ」だとみなします。
どういうことかというと、自分や誰かを責めているとき、そこには責めることで紛らわせている気持ちがあるわけです。つまり、責めていないとその気持ちが湧き上がって来て、とても居心地が悪い。だから責めることでそれを感じないようにしているのです。
だから、誰かや自分を責めていたら、「あ、私は今、感じたくない気持ちがあるんだ」と気づくことが大切です。
それに気づいたら、その瞬間に自分を責めることの一切を止めてみてください。すると即座に、責めることで紛らわせていた気持ちの悪い感情が浮上して来るでしょう。それを身体のどこにあるのかを確かめて、落ち着いて命の呼吸でエネルギーを送ってあげます。
通常私たちは、この辺りが無意識に反応しているので、居心地の悪い気持ちがちょっとでも出てきそうになると、「責める」という行為のスイッチが入って自動的に「責める」というパターンが始まるようになっています。
この無意識のパターンを止めるには、意識的な気づきによって、手動で別の流れに導かねばなりません。
気づいて命の呼吸を送ってあげると、居心地の悪さはかなり落ち着いてくるでしょう。ある程度落ち着いたところで、まだ芯が残っているようなら、まだ何かそこにしてあげなければいけないことがあるということです。さらに掘り下げていきます。
自分を責める傾向のある人は(他者を責めていても結局は同じなのですが)、根底には無力感や自身への無価値感が根深くあるように思います。
というのは、「自分がいけなかった」「こんな私じゃダメだ」「私のせいで」などという自分を責める言葉を並べてみると、これらはどれも、自己否定の言葉ですね。自分を全然認めていませんし、「私の気持ち」「私の事情」を汲む余地がありません。
こんなことを四六時中心の中で繰り返していたら、誰だって気が滅入ってきますし、本当に自分はダメなんだという気になって来てしまいます。
そういう暗示が入ってしまうと、何をする時にも自信がなく、できる気がしないし、未来に希望が持てず、生きる気力自体が弱くなってしまうでしょう。
自分を責めることによってフタをされてしまった「気持ちのカケラ」は、自分自身に見捨てられた悲しみと絶望の中で、さらに深く傷ついていくのです。
自分を責めていることに気づいたら、結果として「できなかった」「ダメだった」けれど、そこには自分なりの事情があったのだというところに気づいてあげてください。故無くそのようになってしまったわけではないのです。
「やらなかった」のではなく、「できなかった」のです。そこに何があるのかに目を向けなければ、決してできるようにはなりません。そして、できなかった事情がクリアになれば、自ずとできるようになるのです。
私たちは、自分に対してその部分を整えてあげる責任があるのであって、それも果たさないでただ責めていても、何も変わりはしません。
自分に向き合うことで成長し、器が大きくなるのは、こうしたことに気づく目が育ち、対処できる実行力が養われるからです。
向き合って見る胆力、気づきの鋭敏さ、状況に適切に応答する誠実さなどが少しずつ育っていくにつれ、明らかに自分が変化している実感と、何より自身の生きる現実が変容していることに気づくでしょう。
そのときには、あれほど嫌で嫌で逃げ出したかった世界に深く根付き、しっかりと地に足を付けて今を生きていくことができるようになっています。
あらゆることに自身が無くて、自分のことが信じられずに誰かや何かを頼ってフラフラ、フワフワしていたのに、自分の内側から湧き上がるパワーを感じながら、それを健全に使うことができると確信できるでしょう。
結局のところ、私たちが喉から手が出るほど欲しくて、あちこちを彷徨いながら求めていたものは、一番最初に「ここには無い」と思って通り過ぎたまさにその場所、「今この瞬間の自分」にこそ見いだせるものなのです。
逆に言えば、それ以外のどこにも、私たちを本当に満たせるものは存在しないと言えます。
だからこそ戻らねばなりません。自分自身に。
けれど、私たちの多くは自分であること、自分とともに在ることをひどく恐れます。それは苦しいものだと思っているからです。実際に、とても辛く、苦しいことのように感じることも多いでしょう。
どうか、その辛さから逃げないでいてください。それを適切に対処できる自分を養うのです。その方法を正しく学び、実践すれば、深い気づきとともに癒しと解放、そして変容の先に、なりたかった自分が待っています。
目の前の苦しいと思える出来事は、その変容へと導くトンネルのようなものです。それをいつ潜り抜けていくのかは、あなた次第です。