感情を抑圧する理由はひとそれぞれですが、自身の本当の気持ちに向き合っていこうと思うとき、必ずその理由を上回って感情を開いていこうとする「必然性」があることが、どうしても必要です。というのは、その必然性が無ければ、癒しのプロセスとは言え、辛い感情に触れていこうとは思えないでしょうから。
自身の感情に向き合っていくプロセスには、それぞれの段階で、自身の意思で明確に「自分がどう在るのか」を決める選択があります。
その選択には大きく分けて3つあって、一つは感情を抑圧したまま行く選択、二つ目は感情に向き合って、分離した自分の気持ちを統合していく選択、そして三つめは選択をしないという選択。
どれを選んでも善悪はありませんが、それぞれに結果がついてきます。
選択をするには、今の自分の状態を知って、なぜそうなっているのか、それに対してどんな手段があり、何ができるのかを学ぶことも大切です。
現状を全く認識できていなければ、行動する理由がありませんし、どうしてそれが起こっていて、何かそこに影響しているのか、その仕組みを知らなければ、これからとるであろう行動の重要性もまったく分からないわけで、緊急を要する状態なのにグズグズしてしまうこともあるでしょう。
そして現状が認識でき、行動の重要性も分かったら、今度はその行動が自分にできるのかどうか、どのようにすればできるようになって、それには何が必要なのか、どのくらいの時間や労力がかかりそうなのか、というプランが立ちます。
多くの方が自身の内面的なものに対して、非常に漠然としたイメージしか持っておらず、それが故に雲をつかむような歩みを余儀なくされているのを見かけます。けれど、目に見えないものだからこそ、こうした具体的な段取りというものは無くてはならないものだと私は思います。
これらのどこが明確になっていないのか、今自分がどの辺りに居るのか、どこかでしっかりとつかんでおく機会を自身に設けることは、これ以降の歩みのロードマップを整え、余計な寄り道をしないで済むという意味でも、有意義な投資ではないでしょうか。
知ることによって、自分が全く見当違いのことをしていたことに気づくこともあるでしょうし、何となく分かっていて取り組んでいたことが正しいと分かって、さらに勇気づけられることもあるでしょう。方法がないと思っていたからできなかった選択ができるようになるかもしれませんし、効率の悪いやり方をしていたけれど、もっと良い方法があると知って格段に歩みのスピードがアップするかもしれません。
学ぶことの重要性は、どんな分野においてもおろそかにされるべきではありませんが、まず自分が何を求めているのかを明確にして、学ぶべきだと思います。
たとえば、やりたいことも分からないままに漠然と、就職に有利になるかと思って資格を取るのもアリかもしれませんが、それよりも、こんな風になりたい、こんなことがしたい、今やっていることの中で足りないスキルを補いたいといった明確な意識で学ぶのとは、その学びの吸収率は格段に違います。
感情解放のワークでも、なぜそれを学びたいのか、学ぶことでどんな風になっていきたいのかを、明確にしましょう。その上で、このワークが自分のその願いを叶えるものであるのかどうか、それを学びながら吟味してみてください。
人によって、「自分には合わない。もっと他の方法を探そう」と思う方もあるでしょうし、「できるかどうかは分からないけれど、取り敢えずそういうものがあることを知ったので、やってみよう」と思う方もあるでしょう。
いずれにせよ、どの段階であろうと「それが自分にとってどうなのか」と問いながら取り入れていくことで、その学びが具体的に自身の中で何らかの「意味」を持つようになってきます。
その段階になると、その「意味」が手応えとして感じられるようになります。たとえそれが自分にとって必要のないものだったという結果になったとしても、その体験で得たものは、しっかりと自分の血肉となります。
そして、学びがとても大切なもので、もっと深く学んでいこうと思えたら、その歩みはより地に足の着いた、しっかりとしたものになっているでしょう。そうして積み重ねられていったものは、自分の中で血肉となって再統合されて行きます。
当初、自分が想像していたものとは全く違ったものになっているかもしれませんが、それぞれの段階で注意深く自分と対話しながら進めてきた歩みは、必ず自身を大きく成長させています。
自分と対話することを、おろそかにしてはなりません。その部分に関しては、近道はないのです。
曖昧になっているところに、明確さをもたらしましょう。そのような状態になっているということ自体にも、理由があるのです。なぜ曖昧にしておかなければならないのか。明確になったらどんな不都合があるのか。その障害を、これからも持っていたいのか越えていきたいのか。
明確に問えば、答えも明確になります。正しい問い方を学びましょう。