昨日は新年最初の感情解放ワークショップでした。みなさんそれぞれに思うところあってこのワークショップに参加してくださったと思うのですが、何かしら、ご自身の取り組みに取り入れられるものを得ていかれたとしましたら幸いです。ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。
「自分に向き合う」「自分の気持ちを受け止める」と言っても、漠然と自分の気持ちについて考えるとか、何となく受け止めた、感じたつもりになってまた同じことを繰り返すというのは、私がお伝えしている感情解放のワークとは違います。
ワークには、具体的なやり方とチェックポイントがあり、その進捗を自分で確かめられるものです。けれど、多くの方はこうしたポイントを押さえておらず、漠然と考えてぐるぐるしているので、できているのかできていないのか分からずに、迷子になってしまうのです。
今自分がどんな状態であるのか、なぜそうなっているのか、やるべきことができていないのだとしたら何が課題で、どう取り組めばその先に行けるのか、自分に向き合いつつ見るべきところが見えていれば、自ずから分かってきます。
そうでないならば、何かが見えていないのです。そして、見えていないのにも理由があります。それは、意識的にせよ無意識にせよ、「見えていない方が都合が良い」からです。
具体的な道筋が見えてやるべきことが分かってしまったら、先に進まなければなりません。「分からないから進めない」という言い訳はできなくなります。先に進むことをイメージした時に、何か嫌なこと、恐れていることなどが無いでしょうか。
頭で「先に進みたいのだから、不都合はない」と即座に答えを出すのではなく、注意深く身体の感覚を感じながら、重たい感じ、違和感などがないか、些細な感覚も見逃さないという姿勢で、自身の真実を「感じ」ます。
頭で出す答えは、いくらでも捻じ曲げて嘘を言うことができますが、身体の感覚はそれ自体をシャットダウンしなければ、嘘をつくことはできません。まずそれが感じられないとしたら、「真実を捻じ曲げ、自分に嘘をつくために感覚を閉ざしている」と思って間違いないでしょう。
「触れたくないもの」に触れようとするとき、こうしたことに気づくこと自体、エゴにとっては非常に都合が悪いのです。自分を煙に巻いてうやむやにしておきたいのに、明確な意識で靄を切り裂き、真実を見通してしまうことが、恐くて仕方がありません。だからエゴは必死で抵抗します。
ワークの途中で眠くなったり意識が飛んだり、あるいは突然やる気がなくなって取り組み自体がしんどくなるのは、間違いなくエゴの抵抗です。
こうした抵抗が起こるたびに、私たちは「自分はどんな在り方をして生きたいのか」と問われているわけです。
真実を受け止められる自分でありたい。自分の感情を在るがままに感じ、責任ある方法で自在に表現できる自分でありたい。自分や他者に対してジャッジメントすることなく寛容で、懐の深い器を持った人物でありたい、少なくとも、この苦しみから脱出し、喜びで満ちた人生を生きたいなど、様々な願いがあるでしょう。
誰しも、多かれ少なかれこうしたことを願い、求め、それに近づくように努力したり、そんな努力に何度も挫折して諦めてしまったりしています。たとえ諦めたとしても、
お前は今、何を選択しているのか。
どんな時も、私たちは常にこの問いとともに在るのです。
喜びを感じるには、「感じる感覚」を開かねばなりません。そうでなければ、どうやって喜びを感じるというのでしょう?けれど、感じる感覚を開けば、今まで拒絶してきた辛い感情も、同時に感じるようになります。
それは耐えられない、と多くの人は感覚を閉ざすことを選んでいます。
感じる感覚を開くには、開いても大丈夫なように対処できる自分でいる必要があります。そうでなければ、閉ざした扉を開けることはできません。そしてそれ以前に、感覚を開く必然性が自分の中に明確に無いのであれば、そもそもそこまでの労力を費やしてそれをやろうとは思わないでしょう。
「こう在りたいと望む自分でいたい」と願いつつ、そういう自分であるために辿るプロセスは拒絶する人が多いです。おいしい果実は欲しいけれど、土を作ったり水やりをするのは嫌だというわけなのですね。
結果だけ求める心の在り様には、今この瞬間に表れているものの奥に在る「大切なこと」に気づく力はありません。どれだけ大きな形の成果を得たとしても、そうした在り方では、その価値を知ることも味わうこともできないのです。
人生の価値は、為し遂げたことの表向きの大きさよりも、そのプロセスの中でどれだけ深く気づけたか、自分の中に決して奪われることのない宝を育てたか、ということなのではないでしょうか。
先を生き急ぐのではなく、今この瞬間に最大限の注意を払って、気づくべきことに気づき、応答することの方が、結果的にははるかに先に進むことができます。
自分に向き合う取り組みをされる方は、よくよくこのことを心に留めておいてください。