当事者意識をもって自分に向き合う

昨日は感情解放ワークショップでした。お集まりくださったみなさま、ありがとうございます。いつも、同じ回でご一緒された方々には共通したテーマがあるなと感じるのですが、今回ご参加くださった方々は、ともに深い悲しみを魂の奥深くに持っていらっしゃいました。一人ではなかなか触れていけない痛みを、サポートを受けながら統合していかれました。


午後のクラスでは、前半で「読み解き」と言って、感情がトリガーされた日常の出来事を取り上げ、「鏡の法則」から、自分自身を知る手がかりを得、後半で読み解きで明らかになった「核心の痛み」を実際に受け止めていくことをします。

今回ワークを始める前に注意事項としてお話させていただいたのが、読み解きをする時の「意識のポジション」についてです。

ワークで自身の感情に向き合うとき、鉄則とも言えるポイントがあります。それが、「自身の体感覚から離れないこと」なのですが、これは感情のエネルギーを受け止めていく実践部分だけではなく、読み解きの部分についても当てはまります。

拙書「感情解放ワークブック」に載っている「鏡の法則を読み解くワーク」で、「自分が反応した相手の要素」「それに対する自分の気持ち」「相手へのニーズ、アドバイス」の3つのパートを書き出していくということをします。

ワークショップでも、ホワイトボードに書き出して解説していくのですが、これらの項目を書き出したり相手に伝えるなどしてプットアウトするときにも、頭だけで考えてやるのではなく、体感覚から離れないようにして書き出していくことが大切です。

セッションなどでは、まずは何が起こって、どんなことに引っ掛かっているかということを丁寧にお聞きしていきますが、ワークを普段から実践されていて、ポイントが分かっている方とそうでない方では、出来事のプットアウトの方法が違います。

一番の違いは、ストーリーの中にどっぷり浸って感情と一体になった視点からお話されているのか、自身の内で起こったものを「対象」として見る「主体」の意識のポジションから話をされているかどうか、という点です。

感情のエネルギーを身体でしっかりと捉えながら話しているとき、その方はたとえ被害者感情といったエネルギー(対象)が自身の内に浮上していたとしても、それに気づき、捉えている「主体のポジション」にいます。

けれど、もし感情のエネルギーに気づかないでそれと一体となってお話をされていたとすると、その人は主体も対象もない、「被害者意識」(あるいは加害者意識など)になっていて、自分=被害者(加害者)というようにストーリーに飲み込まれた状態で現実を捉えていると言えます。

被害者感情というエネルギーを捉えている状態と、被害者意識になっている状態とは全く違うことがお分かりいただけるでしょうか。

頭でいくら自分が被害者意識になっていることが分かっていたとしても、被害者感情という感情のエネルギーを身体で捉えているのでなければ、ワークは成立しないのです。

けれど、こうなっているから良いとか悪いとかではなく、後者の状態でいるとワークを先に進めることはできないので、まずは一体化してしまっている意識を主体と対象とに分ける作業をすればいいわけです。

つまり、悲しいとか怒っているなどの気持ちが分かったら、身体で一番反応している場所を特定するということです。これにより、胸が痛いとか喉が詰まるといった感覚のある場所に、感情のエネルギーを「対象」として認識できるようになりす。

ワークをかなり実践されている方でも、感情に巻き込まれてドツボにはまっているときは、大抵この段階がうまくできていないという基本中の基本でつまづいていることがほとんどです。

「自分に向き合う」という言葉自体、主体と対象を暗示しています。

だたし、これはよく「客観」と「主観」という概念と混同されがちですが、感情解放のワークにおいて、主体という意識のポジションにいることと、客観的であることは、同じではありません。

客観というと、対象を自分とは分離させ、「別のもの」として認識していますが、主体の意識では、対象を自分とは別のものとして認識をしているわけではありません。対象はあくまで自分の一部であり、主体は対象を含んでいるという点が、大きく異なっています。

この認識の違いをしっかり押さえておくことは、ワークを正しく実践するうえで非常に大切です。

巷に溢れる様々な感情に関する癒しの方法の内、うまく行かないケースで多いのは、恐らく「感情を客観的に捉えている」ことに要因があるのではないかと思ます。

感情は「客観的に捉える」のではなく、「主体の意識のポジションから捉える」ことが大切です。

感情を客観的に捉えるというと、何となく「他人事」のようなイメージがありますね。それは紛れもなく誰か関係ない他の人のことなのではなく、私自身のことなのです。当事者意識をもって臨みましょう。

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