よく、人の言うことを鵜呑みにしたり自分で判断することを嫌ってすぐに人に意見を求める人がいますが、こういう方に共通するのが、「自分に自信がない」ことです。つまり、自分の考えや感覚などを一切信用していないんですね。なぜそうなるのか、今回はその構造と核心あるものを読み解いてみます。
自分でものごとを判断できない、決めることが苦手という人は、自身の内側で起こっている様々な感覚や気持ちなどから切り離されていることが多いように思います。
人生を導くサインは内側からやってくるのに、そうしたものと切り離され、受け取ることができないので何事も判断できず、右往左往してしまうのです。そんな状態でも人生は待ったなしで日々色々なことを判断し、決めていかねばなりません。
そうなったとき、その人はどうするかというと、自分を導くはずの感覚が使えないので、「自分よりものごとを良く知っていそうな専門家」あるいは「自分よりもマシな判断をしそうな人」「自分がどうすべきなのかをズバリ言ってくれる人」などに、自分に代わって判断してもらったり、道を教えてもらいに行くのです。
自分を信用できない状態で、「この人なら信用できそうだ」という人の言うことを鵜呑みにしてしまうと、その結果起こったことにも責任を取るという意識がなくなります。そして、自分でもびっくりするようなことが起こってから、さらに「どうしたらいいでしょう?」と慌ててまたその人に次のアクションを決めてもらいに行くのです。
よく「洗脳」などと言われる関係には、多かれ少なかれこうした構図があると思います。
私自身、リーディングセッションなどで人にアドバイスをさせていただくことがあるので、気を付けていることですが、私はその方に代わって判断したり、あなたはこうすべきだ、と直接的に道を示したりということはしないようにしています。
そうではなく、その方が自身の源にしっかりつながり、自分で人生を導く力につながっていけるようになるためのアドバイスになるようにと意識しています。
自分を信用できないということは、周囲の人もあなたを信用できないということであり、そこに健全な信頼関係は構築し得ないでしょう。
本来、私たちは自身の深奥に、ちゃんと自分の人生を導いていく羅針盤を持っています。それを正しく使う努力を怠り、他者に依存するのは不健全な在り方であると私は思っています。
自分が信用できないのなら、なおさら自身に深く向き合っていくべきではないでしょうか。
そのように自分が信用できなくなっているのにも、実は理由があります。そういう方が自分を信用しようとすると、どこか苦しい感情や感覚が浮上して来るだろうと思います。
なぜそのように苦しくなるのかと言えば、自分の判断で行動した結果、何か辛いことが起こってしまったという体験をどこかでしているからでしょう。
その辛さを受け止めることができなかったために、今なおそのようにして事あるごとにその感情が浮上して、自分を信じて行動することをブロックする障害となっているのです。
一体どんな辛いことがあったのか、そういうトラウマのある方は、今世でも「自分で決めてがっかりする」というような体験を繰り返しているだろうと思います。あるいは、もっと重大な出来事を決断し、「失敗した」と感じた出来事があったかもしれません。
がっかりしたり失敗だったと感じることは嫌なものですから、その感情を封印したり、心の中で出来事自体を無かったことにしてしまうことすらあります。
けれど、自分の決断の結果を受け取らないでいると、そこにある重要な学びやメッセージも受け取ることができません。先に進むにはそれをしかと受け取ることが不可欠なのですが、受け取らないので、いつまでも同じことを繰り返すのです。
ガッカリも失望もショックも、どんな感情であれ少しずつ、時間をかけてでもいいから、それらを受け止めることです。そこから、閉ざされていた道が開けてきます。一時的に力を失ったように見えて、不死鳥のように自身の深いところから前へ進むための力が湧いてくるのを感じるでしょう。
こうして私たちは人生を導く力につながっていくのです。
自分に自信がない人は、この自らの決断の結果を引き受けるという責任から逃げています。そして他者に依存してしまう隙を自ら作っています。
誰かに代わって何でも決めてもらうのは一見楽なようでいて、自身のパワーから切り離されている不健全さからくる苦しみを代償として受け取ることになるのです。
以上の流れをまとめてみると、こうなります。
①自分で決めたことが失敗した。
↓
②ガッカリした
↓
③その気持ちを受け止められないまま、自分の判断力を信じられなくなる
(自身で判断した結果を受け止めることから逃げる)
↓
④自分よりもマシな判断をしてくれる人に依存
↓
⑤自分の人生を導いていく力から断絶し、ますます依存
この状態から立ち直っていくには、③の結果を受け止め、責任を引き受けることで、自身の深奥に再びつながっていくようになり、本来のパワーが戻ってきます。
この構図をよく理解して、自分を信じることの力を取り戻して行っていただけたらと思います。