感情解放ワークで今この瞬間に湧き上がる気持ちに向き合っていくと、この人生での様々な体験や、過去世でのいくつものストーリーが浮上して来ることがあります。そこに封印されている傷ついた心を抱きしめていくことで、私たちは深い絶望すらも癒していくことができます。
今世の記憶が浮上して来るのは分かるけれど、過去世の記憶なんて自分にも出てくることがあるのだろうかと思われる方もあるでしょう。
実際にセッションやワークショップに来られる方の中では、別段リーディングなどの能力がない方でも、多くのケースで自然にそうしたものが出てきています。
ただ、過去世のストーリーが出てきたからと言って、ある種のヒプノセラピーのように、ストーリー自体にどっぷりと浸ることにフォーカスはしません。
そこに抑圧された感情のエネルギーを解放することが目的なので、必要以上にストーリーを見ていくということはぜず、本当にその感情を解き放つのに必要な部分だけを見ていきます。
そのような感情を抱くに至った、どんな経緯があったのか。それは誰のどんな行為に対しての気持ちなのか。なぜ自分は、そして相手はそのような行為をしたのか。そこにはどんな思いがあったのか。
主に見ていくのはこうしたポイントで、これらを見ていくことで、その感情が抑圧された構造を読み解くことができるのです。
感情解放において、この「抑圧された構造」をしっかりと把握することは、ワークで働きかける部分をピンポイントで探り当てるときに重要です。これが分かっていないと、漠然と開かない蓋の上で悶々とした時間を過ごすことになってしまいます。
このポイントはワークショップやこのブログでも繰り返しお伝えはしてきているのですが、腑に落とすには、みなさんなかなかに苦労されているようです。
私たちの認識というは、「都合の悪いもの、見たくないものは見えない、見ない」ようにできているので、「抑圧の構造」を読み解くには、見たくないものを見る不快感という壁を、どうにかして乗り越えるという関門があるからだろうと思います。
都合の悪いもの、見たくないものにしっかりと意識を向け、見られるようになると、自分で深い感情にも向き合えるようになるほか、色々と良いことがたくさんあります。
私が実感している一番のメリットは、タイミングが良くなることです。
どこがどうしてタイミングが良くなることにつながるのか?と思われるでしょうが、タイミングが悪いということは、在るべき時に在るべき場所に居らず、在るべきことをしていない状態と言えます。
都合の悪いものを見ないということは、やるべきことがあるのに見ないふりをして、在るべき時に在るべき場所にいないということを意味します。これがすなわち、タイミングが悪くなる一番の要因です。
ものごとの流れは機械仕掛けの歯車のように、無数の要因が相互に影響し合いながら進んでいきます。些細なことから大きなことまで、全てのことにそれを為すべきタイミングがあり、それを逃すと次にタイミングが来るのは随分先になってしまったり、やって来なかったりします。
時を逃さず為すべきことを為すには、先延ばしにしたり腰が重くてはできないのです。
だからこそ、日頃から「自分の中で逃げていることは無いか」と問い、差し出されているものにしっかり応答していくことを習慣にしていると、タイミングが良くなっていくのは道理です。
過去世のものであれ今生のものであれ、抑圧された気持ちのカケラ君たちは、常に私たちに迎えに来て、自分を助けてくれるようにと呼びかけ続けています。
自分を助けられるのはあなたしかいないから、彼らも必死です。その悲痛な叫びに対して、あなたはどれだけ真摯に応答できているでしょうか。
浮上して来る記憶というのは、抑圧されているほどのものなので、決して心地よいものではないかもしれません。けれど、彼らに本当に出合い、抱きしめ、統合していく中で味わうものは、心からの安堵と言い表すことのできない感動です。
私は多くの方にセッションをさせていただく中で、過去に凍結された様々なストーリーの現場に立ち会わせていただきました。
自分自身のストーリーを含め、それらは人間のありとあらゆる醜さ、闇だったかもしれません。けれど、そのすべての人々の行為の中に、常に深い心の痛みがありました。
痛みゆえに人を傷つけ、自分を歪めていくのですが、彼らはみな、正しくその痛みに対処する方法を知らなかっただけです。正しい対処をして行くことでそれらは癒え、本来の自分のパワーを取り戻すことができます。
深い絶望も、悲しみも、恨みも憎しみも、癒えていく道はあるのです。
ただ、そのために必要なのは、自分自身を決して見捨てないというあなた自身の決意です。その決意が、道を拓きます。
自分自身をどれだけ愛し抜くことができるか。感情解放ワークは、常に私たちにそう問いかけるのです。